沖縄県における麻疹の流行と「麻疹(はしか)流行阻止緊急アピール」
(Vol. 22 p 197-197)

2001(平成13)年7月5日、 沖縄県福祉保健部、 沖縄県予防接種対策協議会、 社団法人沖縄県医師会、 社団法人沖縄県小児保健協会、 沖縄はしか“0”プロジェクト委員会は連名で、 沖縄県内における死亡例を含む麻疹流行の継続に対して「麻疹流行阻止緊急アピール」を発表した。アピールされた提言内容を、 以下に要約する。

 1.保護者は、 定期予防接種を特に1歳の早期に徹底させること。1歳未満でも保育園児など感染機会が多い場合は、 任意予防接種をかかりつけ医と相談すること。
 2.市町村は、 予防接種行政を強力に推進すべきである。1歳児の麻疹予防接種率は95%以上を目標とする。流行時の1歳未満児への任意接種についても実施体制を整備すること。
 3.保育所などの施設は、 園児等の予防接種歴の把握と感受性者への接種勧奨を行うこと。施設内感染の防止に努めること。
 4.保健・医療機関は、 予防接種の正しい知識の普及に努めること。各種健診等の機会をとらえて地域における予防接種の推進に一層取り組むこと。
 5.麻疹は小児だけの感染症ではないことを認識する。医療関係者、 保育関係者、 妊婦等で予防接種歴や感染歴がない、 または不明の場合は特に注意すること。

沖縄県では1998(平成10)年9月〜1999(平成11)年8月にかけて麻疹が流行した。この流行では小児科34定点より2,034名の感染者が報告され、 8名が死亡した(本月報Vol.20、 No.11参照)。

その後、 2000(平成12)年秋より再び麻疹感染者の増加が認められた。小児科定点では2001年第17週(4月23日〜29日)の定点あたり1.94をピークに、 第26週(6月25日〜7月1日)現在も同1.65と高値を継続中である。2000年第36週〜2001年第26週までの期間、 小児科34定点からは1,006名(1歳台が265名、 26%で最多)、 基幹病院7定点からは成人31名の麻疹患者が報告された。2001年4月には、 沖縄県南部で9カ月女児が麻疹肺炎にて死亡しており、 また妊婦の麻疹感染による自然流産例も散見されている。沖縄県内の1999年度の麻疹ワクチン接種率は全体で69%、 1歳台での接種率は66%であった。県内13市町村では、 緊急対策として6〜12カ月未満児に対する任意予防接種を、 5〜8月を中心とした期間限定にて自治体の費用負担で行っている。

*本情報に関する詳細は、 沖縄県感染症情報センターホームページ
(http://www.c-okinawa.co.jp/kansensho/kansen.htm)を参照のこと。

沖縄県福祉保健部健康増進課 砂川 悟 古謝 隆 崎山八郎
国立感染症研究所感染症情報センター 砂川富正 岡部信彦

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