黄熱ワクチンの重篤な副反応
(Vol. 22 p 225-225)
Lancet誌(14, July, 2001)によれば、 1996〜2001年の間に7例の黄熱ワクチン接種後の重篤な副反応例(うち6例は死亡)が報告されており、 黄熱ワクチンの安全性への関心が高まっている。オーストラリア1例、 ブラジル2例、 米国4例の報告があり、 WHOはこれらの事例に関心を持っており、 各国による調査に注目している。
WHOは黄熱ワクチンの安全性と適応について、 再び討議するよう提言する。また、 旅行者が個人のリスクレベルに合わせて、 黄熱ワクチンが必要かどうかを注意深く評価するよう勧告する。
しかし、 重篤な副反応の頻度は検討中であり、 現在入手できる情報ではその頻度は極めて稀であることが示唆される。黄熱ワクチンは過去4年間に、 全世界で1.5億回接種されたと推定され、 このうちブラジルでは5,400万回接種され、 重篤な副反応の報告は2例のみであった。
黄熱は依然アフリカや南アメリカでは重要な公衆衛生上の課題であり、 再興感染症として毎年3万人の死亡が推定されている。また、 蔓延地域への旅行者にとっても大きなリスクである。これら地域においては、 ワクチン未接種によるリスクは、 接種による副反応によるリスクより遙かに大きい。このため、 現在のところ、 WHOは黄熱ワクチンに関する方針は変えていないが、 重篤な副反応発生の把握、 改善は必要である。
(WHO、 WER、 76、 No.29、 217-218、 2001)