健康であった若者でのアデノウイルスが関連した2死亡例、 2000年−米国・イリノイ州
(Vol. 22 p 225-225)

健康であった若者に、 アデノウイルスが関与した死亡症例が2例報告された。2例ともに海軍入隊後各種の予防接種を受け、 イリノイ州グレートレイクでの基礎軍事訓練に参加していた。それぞれ6月と8月に上気道炎症状を発症、 いずれも急速に進行し、 21歳の1名は脳炎の併発により、 もう1名の18歳男性例は急性呼吸促迫症候群(ARDS)により死亡した。1例の咽頭からA群溶血性レンサ球菌が培養されたが、 その他の培養は陰性で、 剖検で肺などからPCR法によりアデノウイルスDNAが検出され、 2名は同ウイルスが関連した死亡であると結論づけられた。1例(21歳)では、 アデノウイルス4型と7型に対する中和抗体の4倍以上の上昇もみられた。

1950〜1960年代には、 同ウイルスによる新兵の感染が10%前後あり、 肺炎による入院の約9割を占めていた。1971年からは同ウイルス(血清型4、 7)の経口生ワクチンを新兵全員に接種していたが、 1996年にワクチンメーカーが製造を中止したことにより、 中断されている。毎年20万人の新兵が入隊しており、 ワクチンの再開まではサーベイランスが重要となる。医師においては青年兵士の診察の際、 重篤化する恐れのある疾患として同ウイルスによる感染を念頭におくよう、 また、 国やワクチンメーカーにおいては、 同ウイルスワクチンの生産再開について検討することが望まれる。

(CDC、 MMWR、 50、 No.26、 553-555、 2001)

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