英国の口蹄疫流行対策の従事者におけるQ熱などの職業的暴露危険度について
(Vol. 22 p 226-226)

英国で口蹄疫流行の対策としていくつかの農場で牛の殺処分に従事していた3人が、 Q熱を発症していることが判明した。うち2例は2001年5月6日と11日にインフルエンザ様症状にて発病し、 3例目はこの原発症例と関連していた。全例ともELISAでIgM抗体陽性が確認されている。

Q熱の病原体(Coxiella burnetii )は、 感染した動物の胎盤組織や羊水、 乳、 尿、 糞便から検出され、 ヒトへの感染は汚染された粉塵やエアロゾルの吸入、 および体液や胎盤等の直接接触によっておこることが知られている。この病原体は熱や乾燥に強く、 ごく少量でもヒトに感染すると考えられる。一般的には、 インフルエンザ様症状で自然治癒するか肺炎となるかであるが、 慢性例として心内膜炎が主な症状となることがある。C. burnetii の地理的分布は広く、 ニュージーランドを除くほとんどすべての国で検出されている。最近までヨーロッパ北部のある地域では、 時々海外での感染に起因する以外はQ熱症例が存在しないと考えられてきた。現在はスウェーデンとポーランドで流行状態になっているようである。多くの国では、 Q熱が報告対象疾患となっていないことで、 患者発生数を正確に把握することは困難となっている。また、感染源が不明であることはしばしばある。Q熱の大きな流行は、 職業的な暴露以外ではほとんど報告されていないが、 間接的暴露として、 羊の群れが人ごみの中を通ったことに起因するQ熱の流行がスイス、 北部イタリア、 英国で起こっている。また、 汚染されたワラと肥料を載せた車両が通過したことや、 農場から吹いた風に起因する都市部での流行も知られている。

(Eurosurveillance Weekly、 No.27、 2001)

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