非流行期(8月)におけるA(H3)型インフルエンザウイルスの分離例−沖縄県
(Vol. 22 p 251-251)
非流行期の2001年8月29日採取検体よりA(H3)型インフルエンザウイルスが1例分離されたので報告する。
患者は20歳の男性で8月28日に発症し、 翌29日に沖縄本島南部の中央保健所管内の病院を受診。40℃の発熱、 筋肉痛、 関節痛等の症状からインフルエンザが疑われた。
病院で採取された咽頭ぬぐい液をMDCK細胞に接種したところ、 2継代目でCPE が観察された。この培養上清について、 ガチョウ赤血球を用いた赤血球凝集(HA)試験を行ったところ、 HA価は16を示した。
国立感染症研究所より分与された2000/01シーズン検査キットの抗血清を用いてHI試験を行った結果、 A/Moscow/13/98(H1N1)およびA/New Caledonia/20/99(H1N1)に対してはそれぞれHI価10以下、 A/Panama/2007/99(H3N2)に対してはHI価 2,560(ホモ価 1,280)を示したことから、 A(H3)型インフルエンザウイルスと同定された。
今回は2001/02シーズンに入る直前の検体から分離されたことから、 その後の動向に注意し監視を続けているが、 9月25日現在まで新たな分離例は報告されていない。
沖縄県感染症情報センター:宮城朝光 下地実夫 本成 充
微生物室:平良勝也 中村正治 糸数清正 久高 潤 安里龍二