麻疹の予防接種率向上と麻疹撲滅に関する要望書

(Vol.22 p 285-286)

厚生労働省健康局結核感染症課長宛
文部科学省スポーツ青少年局学校健康教育課長宛

平成13年7月27日
社団法人日本小児科学会会長   柳澤正義
社団法人日本小児保健協会会長 前川喜平
社団法人日本小児科医会会長   天野 曄

わが国においては1978年から小児への麻疹予防接種の導入を開始したにもかかわらず、いまだに小中規模の地域的流行が繰り返されております。特に一昨年の沖縄での流行、本年の大阪府、高知県、北海道、岩手県、千葉県、滋賀県、岡山県、香川県、そして大分県などで地域的流行が問題となっております。その流行の中心は予防接種を受けていない1歳代、6〜12カ月の乳児であり、2歳以降の年齢層でも予防接種を受けていない幼児、学童、さらに成人までもが罹患し、2000年のサーベイランスによれば、その総数は10万人〜20万人にのぼると推計されております。また年間で肺炎4,800例、脳炎55例、死亡88例が発生しているとの推計もあります。

各地からの報告では、罹患者の95.1%が予防接種未接種であり、この流行の実態は接種率の低さに因るものと考えます。わが国の麻疹予防接種率は地域によって差はあるものの76%〜80%と推定されております。現在まで小児科医、保健婦らが接種率向上のため努力をいたしてまいりましたが、これ以上の接種率の向上は現状のままでは困難と考えられ、国の政策の強化が必要と考えます。

具体的には国、地方自治体による1歳半健診時での麻疹ワクチン接種勧奨の強化、1歳児への麻疹ワクチン接種に向けての個別的再連絡、医師会への接種率向上への依頼、学校の協力の指導、1歳時、3歳時における予防接種率の行政における正確な把握への指導などの施策をご考慮いただきたいと考えます。

われわれ小児科医が、国内的にも、国際的にも文明国として緊急事態と考えておりますことをご理解いただき、ご高配下さいますよう要望いたします。

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