若年成人の麻疹集団発生、 2001年−オーストラリア

(Vol.22 p 295-295)

2001年2月1日、 ビクトリア州の感染症課は王立メルボルン病院に入院した麻疹疑いの19歳女性患者の報告を受けた。その後2名(28歳、 22歳ともに男性)の患者が報告され、 2月16日までに、 31例の患者が実験室診断により確定された。10カ月の女児1名を除いて、 患者はすべて15〜34歳であった。ビクトリア州における過去の麻疹集団発生は、 同じ年齢群で発生している。

オーストラリアの若年成人(1970年1月〜1983年12月生まれの者)は、 麻疹ウイルスの野生株に感染していないか、 または十分な免疫を持っていないため、 麻疹感染に対し大きなリスクを持っている。麻疹を含むワクチンはオーストラリアでは1968年に初めて使用された。麻疹・おたふくかぜ・風疹(MMR)ワクチンの2回接種プログラムは1994年に導入されたため、 当該年齢群の中で2回の麻疹含有ワクチンを接種した者はほとんどいない。1999年の集団発生の際、 この年齢群の入院率が上昇し、 17例(57%)が入院した。

今回の集団発生における初発患者は19歳の男性で、 過去のワクチン接種歴はなく、 インドにおける休暇後、 2001年1月4日にシドニーに戻ってきた。患者は1月20日に発疹が発現、 感染性を有する期間としては1月17日〜20日にメルボルンを訪れていた。残りの患者の発疹発現時期は、 1月28日〜2月13日であった。8例の患者は初発患者と直接の関連があり、 初発患者と同じ夜に同じレストランにいた10カ月の小児も含まれていた。その後の3症例(発疹発現2月9日〜13日)は、 感染の第2波と思われ、 このうち2例は同じ夜に同じナイトクラブにいたことが分かっている。

患者13例から麻疹ウイルスRNAが検出され、 ウイルス系統についての遺伝子型検査では、 “D型”のいずれかであると判明した。B95a細胞によるウイルス培養により、 少なくとも5件からウイルスが分離されており、 培養は現在も継続中である。

(Australia CDI、 25、 No.1、 12、 2001)

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