保育園における腸管出血性大腸菌O157集団感染−兵庫県

(Vol.22 p 292-292)

兵庫県中・東部S市の某保育園にて、 腸管出血性大腸菌(EHEC)O157による小規模な集団感染が発生した。2001年7月下旬の保育園患児発生に伴い、 所轄の健康福祉事務所は、 在籍園児(89名)・職員(16名)全員およびその家族(398名)の糞便(8月上旬〜半ばに採便)を検索し、 園児11名、 その家族6名からEscherichia coli O157を分離した。初発患者発生前2週間分の給食からは、 E. coli O157は分離されなかった(同事務所)ので、 感染源が給食である可能性は低い。

当所での検索により、 上記17株はすべてO157:H7で、 VT2産生性であった。同じく12薬剤(ABPC、 CTX、 KM、 GM、 SM、 TC、 TMP、 CPFX、 FOM、 CP、 ST、 NA)すべてに感受性であった。Xba Iによる染色体切断産物のパルスフィールド・ゲル電気泳動(PFGE)結果は、 園児1名を含む1家族(これをBグループとし、 他をAグループとする)由来の3株を除きすべて同一のパターンを示した()。比較のため、 同地域・同時期の3患者株も示した。PFGEパターンがA、 B両グループ間で大きく異なるため、 Bグル一プ家族の感染は園内の集団感染とは異なるルートによるものと考えられる。

今回の集団感染の感染者の大半は無症状であった(有症5名)。本件は、 初発患者発生に伴う検索で、 EHEC感染が集団内で高率に広がっていることを探知した1事例であると考える。

兵庫県立衛生研究所微生物部 辻 英高 押部智宏 浜田耕吉

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