名古屋市において、 2001/02シーズン直前の2001年9月26日採取の検体から、 B型インフルエンザウイルスを分離したので報告する。
患者は、 守山区在住の4歳1カ月女児。9月25日夜より、 高熱、 咳嗽、 咽頭痛が出現し、 9月26日、 東市民病院小児科を受診した。受診時の体温は40℃、 咽頭発赤を認めたが、 他の理学的所見に異常はなかった。気管支炎と診断され、 入院となった。WBC 5,900/μL、 PLT 20.2万/μL、 GOT 39IU/L、 GPT 18IU/L、 LDH 517IU/L、 CRP 1.6mg/dL。咽頭細菌培養は陰性であった。
咽頭ぬぐい液からMDCK細胞培養初代でインフルエンザウイルスが分離された。モルモット血球に対するHA価は128であった。国立感染症研究所から分与された2000/01シーズンのフェレット感染抗血清、 B/Yamanashi(山梨)/166/98に対して、 HI価20(±)(ホモ価1,280)、 ホモ価40のB/Shangdong(山東)/07/97に対してもHI価10(±)であった。
患児の経過は、 かぜ薬、 クラリスロマイシン内服後も高熱が続いたが、 全身状態は良好であった。10月1日(第7病日)解熱し、 10月3日退院した。
9月19日に父親が罹患し、 22日に妹が発熱、 入院し、 25日に本人が発熱、 その後、 母親も発熱した。家族内流行であると思われたが、 他の家族のウイルス学的検索は行っていない。妹は同様の症状であり、 2人とも、 2000年11〜12月に2回ワクチン接種を受けていた。父親は市内に勤務し、 出張等はなかった。
名古屋市での2000/01シーズンのインフルエンザは、 全国的な傾向と同じく、 A/ソ連型、 A/香港型、 B型が混在する流行形態であった。B型インフルエンザウイルスの分離は、 2月14日〜4月16日採取の検体から、 B/Yamanashi/166/98に対して20〜80倍、 B/Shangdong/07/97に対して10倍以下を示す株が16株、 6月に、 B/Shangdong/07/97に対して10〜20倍、 B/Yamanashi/166/98に対して10倍以下を示す株が4株分離されている。
B/Yamanashi/166/98に反応した16株のうち6株は、 国立感染症研究所で解析が行われ、 2株はB/Yamanashi/166/98類似株、 4株はB/Sichuan(四川)/379/99類似株であった。
名古屋市衛生研究所微生物部ウイルス室 後藤則子
名古屋市立東市民病院小児科 神岡直美 加藤敏行
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