遺跡発掘作業者にみられたコクシジオイデス症、 2001年6〜7月−米国・ユタ州

(Vol.23 p 18-18)

2001年6月18日、 ダイナソー国立モニュメントに所属する考古学者の指導のもと、 6名の学生ボランティアと2名の作業員が現地の遺跡発掘作業を開始した。作業中防護マスクは着用していなかった。8名の発掘作業者全員と2名の考古学者が、 6月29日〜7月3日の間に呼吸器症状、 全身症状のために救急外来を受診し、 うち8名は入院となった。10名(中央値17歳、 16〜29歳)の発症日は6月28日〜7月1日で、 症状は呼吸困難、 発熱、 咳、 倦怠感、 息切れ、 筋肉痛、 全身性の皮疹などであった。6月に発掘現場における暴露の可能性があった18名(8名の発掘作業者と10名の考古学者)に対して調査が行われ、 最も埃が立つ作業が行われた6月19日に発掘現場にいた10名全員が発症していた(P=0.00002)。血液培養から一般細菌は検出されなかった。10名中9名はCoccidioides immitis に対するIgM抗体検査が陽性であり、 急性コクシジオイデス症と診断された。土壌の検査は現在実施中である。その後、 作業中に特殊な防御マスクを着用するようにしたが、 9月にも作業員1名が急性コクシジオイデス症を発症した。一般の観光客に対しては、 埃の立たない場所のみを通るよう指導した。周辺の病院での患者サーベイランスを継続中である。

コクシジオイデス症は米国南西部、 カリフォルニア、 中南米の一部の乾燥した土壌中に存在するC. immitis の胞子の吸入により発症する真菌症である。ユタ州北東部における患者発生は今回が初めてである。

(CDC、 MMWR、 50、 No.45、 1005-1008、 2001)

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