市内の幼稚園におけるノーウォーク様ウイルス集団感染事例−福岡市

(Vol.23 p 11-12)

福岡市内の幼稚園においてノーウォーク様ウイルス(NLV)感染の集団発生があったので報告する。

2001(平成13)年11月3日〜9日にかけてA幼稚園の園児33名が嘔吐・腹痛・下痢などの症状を訴えた。患者の半数以上はB組であった()。

当幼稚園では給食を提供しているが、 給食従事者や保母等幼稚園関係者に発症した人はいなかった。また、 4日に発症した1園児の両親が5日に発症していた。そこで園児11名(患者)、 園児の両親2名(患者)、 保母10名(無症状)および調理従事者4名(無症状)の便について検査を実施した。

RT-PCRの結果、 園児11名、 両親2名および保母1名の計14名からNLVを検出した。陽性となった保母は無症状で、 患者が多かったB組の担任であった。他の保母や調理従事者からは検出されなかった。

RT-PCRに用いたプライマーが[1st:35'/36-2nd:NV81/NV・SM82]および[1st:Yuri52F/R・MR3/4-2nd:Yuri22F/R]の場合13名陽性であった。また、 新しく厚生労働省通知に加えられたプライマー[1st:COG1F/G1SKR-2nd:COG1F/R ]ではすべて陰性、 [1st:COG2F/G2SKR-2nd:COG2F/R]では14名陽性となった。これらはプローブRING1-TP(a)(b)、 RING2-Plateを用いたマイクロプレートハイブリダイゼーション法により、 すべてgenogroup IIと確認された。

本市におけるNLVによる集団発生の初発時期は年々早まってきている感がある。また、 施設等においての「人→人」感染と思われる事例が目立ってきている。

今後詳細な調査を行って感染ルートを解明し、 NLVによる集団胃腸炎の発生予防に努めることが重要と思われる。

福岡市保健環境研究所微生物部門ウイルス担当
福岡市城南保健所衛生課食品係

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