2001/02シーズン最初のAH3型インフルエンザウイルスが、 大阪府豊中市内の感染症発生動向調査病原体定点小児科を受診した3人の患者(うち2名は同一家族)から分離された。
症例1:4歳の男児で、 12月7日発病、 40℃の発熱があり、 12月8日に鼻汁が採取された。
症例2:同じく4歳の男児で、 12月7日に発病し、 39℃の発熱を認め、 翌8日に鼻汁が採取された。
症例3:症例2と同一家族で、 34歳の女性、 12月8日に発病し(体温は37℃)、 同日うがい液が採取された。
すべての検体はMDCK細胞に接種され、 初代培養で細胞変性効果(CPE)を認めたので、 HA試験を行った。HAに関しては、 ここ数年のAH3型インフルエンザウイルスと同様に、 ニワトリ赤血球では全く凝集像がみられず、 また、 モルモット血球でもHA価は8HAであり、 HI試験には培養上清原液を用いざるをえなかった。
感染研が配布した2001/02シーズン用インフルエンザウイルス感染フェレット抗血清に対するHI試験をモルモット血球を用いて行った。分離株は3株ともA/New Caledonia/20/99(H1N1)に対してHI価は<10(ホモ価160)、 A/Moscow/13/98(H1N1)に対しHI価は<10(ホモ価320)、 A/Panama/2007/99(H3N2)に対しHI価は640(ホモ価640)、 B/Johannesburg/5/99に対しHI価は<10(ホモ価40)、 B/Akita/27/2001に対しHI価は<10(ホモ価40)であった。この結果、 3つの分離株はいずれもAH3型インフルエンザウイルスと同定された。
なお、 いずれの症例もワクチン歴は不明である。症例1、 2については地域流行との記載があったが、 その後の感染はあまり拡大していないようである(2001年12月20日現在)。
大阪府立公衆衛生研究所 加瀬哲男 森川佐依子 奥野良信