ウシ海綿状脳症の発生状況、 2001年−フィンランド&その他のヨーロッパ地域

(Vol.23 p 42-42)

2001年12月7日にフィンランドにおいて初めて、 1頭の6歳の雌牛が典型的なウシ海綿状脳症(BSE)の症状を呈した後に屠殺され、 BSEであると確定診断された。この雌牛はフィンランド産で、 この農場においては20年以上にわたって肉骨粉は使用されていなかった。この牛が由来する農場の牛、 一緒に飼育されていた牛、 仔牛のすべてが処分された。

BSEは英国において1986年に初めて認知された疾患であり、 英国での発生は1992〜93年にピークを示し、 現在は減少傾向にある。この疾患の起源は不明であるが、 汚染された肉骨粉を牛の飼料とすることにより感染が広がったとの考えが広く受け入れられている。ヨーロッパの委員会において、 地域的なBSEのリスクについて4段階の分類がなされている()。

 分類I (BSEの発生のリスクが極めて低い)
 分類II (BSEの発生のリスクが否定できない)
 分類III (BSEの発生のリスクがありうるか、 低いレベルで確認されている)
 分類IV (BSEの発生のリスクが高いと確認されている)

英国以外では1989年にアイルランドで初めてBSEの発生が確認され、 これまでに19カ国(13のEU諸国と他のヨーロッパ諸国および日本)でBSEの発生が確認されている。

変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)は1996年に英国において初めて認識された疾患であり、 BSEが人間に感染したものであるとされている。現在までに英国においては113例の患者が報告されており、 そのうちの103例はすでに死亡している。英国以外では、 フランスで4例、 アイルランド、 香港で各1例が報告されている。

BSEの人間への影響を減らすためには、 肉骨粉を飼料として使うことを禁止し、 牛の間でのBSEの拡大をおさえること、 BSE感染に関する危険部位を人間の食料としないこと、 30カ月齢以上の牛は屠殺の際に強制的にBSEの検査をすることにより、 BSEに感染した牛を人間の食料としないこと、 などが必要である。

(Eurosurveillance Weekly、 No.50、 2001)

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