WHOとUNAIDSは、 2001年末時点でのHIV感染者/AIDS患者は4,000万人に達し(図1)、 2001年中に500万人が新たに感染したという推定を発表した。また、 その男女差はほとんどなくなり、 2001年には300万人が死亡したと推定した。
2001年11月25日現在、 WHOに公式に報告されたAIDS患者数は計2,784,317人で、 2000年11月より471,457人増加した。先進国と南米の一部で患者数が減少しているが、 サハラ以南のアフリカ諸国での増加がその減少を凌駕した。
地域別に見て、 サハラ以南のアフリカは高度侵淫地帯で、 全世界の70%を占める2,810万人のHIV感染者/AIDS患者がおり、 2001年中に230万人が死亡した。アジア太平洋地域には710万人のHIV感染者がいると推測されている。大半のアジア諸国では、 成人における流行は引き続き低いが、 売春、 非合法薬剤、 性行為、 移民の発生などによってHIV感染者/AIDS患者が増加する傾向がある。南米とカリブ海諸国のHIV感染者数は180万人と推定され、 その大半は男性同性愛者、 経静脈薬物使用者であるが、 一部の国では異性間性的接触による感染例が増加している。東ヨーロッパと中央アジアでは2001年中も感染者が急増した。これは経静脈薬物の使用によるものである。北アフリカと中近東では依然感染者は少ないが、 紛争が生じている国などでは増加している。北米、 西ヨーロッパ、 太平洋地域では抗レトロウイルス療法の進歩によりAIDSへの進展と死亡、 母児間感染は減少している。しかし、 治療の進歩に比較して予防に進展は見られず、 上記の先進国でも2001年中に75,000人が新たに感染した。
HIVの伝播様式にも地域差が見られた。サハラ以南のアフリカのAIDS患者は90%以上が異性間で伝播しており、 アジア、 南米、 北アフリカ、 中近東でも同様である。一方、 先進国では同性間、 異性間、 経静脈薬物使用がほぼ同程度であるが、 この地域でも異性間感染が増加傾向にある。
サハラ以南アフリカのAIDS患者には男女差は見られず、 カリブ海諸国、 アジア、 北アフリカ、 中近東でも女性が40%まで増加した。上記以外の国ではAIDS患者は男性が多い傾向が持続している(図2)。ほとんどの国で、 AIDS患者の大半が15〜49歳の年齢層に属する。しかし、 ルーマニアでは以前のHIV感染の流行に続いて小児のAIDS患者が多発しており、 サハラ以南アフリカでは母児間感染による0〜4歳群と、 異性間感染による25〜39歳群の2峰性年齢分布が見られる。
(WHO、 WER、 76、 No.49 & 50、 2001)