エコーウイルス11型による呼吸器系疾患を主流とした冬季散発流行−香川県

(Vol.23 p 60-61)

2001年11月下旬〜2002年1月に香川県下において呼吸器系疾患を主流としたエコーウイルス11型(E11)による流行が確認された。県下におけるE11の流行は、 1994年(9〜12月に17株)、 1998年(6〜10月に52株)に確認されており、 3度目の周期流行となった。無菌性髄膜炎を主流として夏季を流行期とした前回とは異なり、 2001年7月1株、 11月1症例(1株分離)、 12月12症例(13株分離)、 2002年1月5症例(6株分離)と冬季になり増加傾向を示し、 現在の未同定株を含めると流行は継続していると推察される。

冬季に分離された18症例の臨床診断は、 無菌性髄膜炎3例、 肺炎3例、 上気道炎3例、 リンパ節炎2例、 インフルエンザ様疾患、 咽頭炎、 扁桃炎、 咽頭気管支炎、 咽頭扁桃気管支炎、 ギラン・バレー症候群、 不明熱各々1例と呼吸器系疾患由来が11例(61%)と大部分を占め、 無菌性髄膜炎由来は3例(17%)と少ない傾向を示し、 臨床症状ではリンパ節炎2例、 上気道炎1例に結膜炎を認めた。分離状況は咽頭ぬぐい液由来材料から14株、 髄液4株、 糞便2株で、 同時分離が無菌性髄膜炎患者の咽頭ぬぐい液と糞便、 不明熱患者の髄液と糞便でみられた。男女別分離状況は男10例、 女8例とほぼ同数であった。年齢は、 生後12日〜12歳で、 2歳6例、 3歳3例、 0、 1歳各々2例、 4、 7、 8、 11、 12歳各々1例で、 前回流行以降に誕生した3歳以下に13例(72%)と多発する傾向がみられた。

今回の流行は、 感染症発生動向調査検査定点からの検体の送付状況および分離状況からみて、 地域的特性はなく県下全域での流行と推察される。ウイルス分離には、 RD-18S、 FL、 Vero、 MDCK細胞を用い、 感受性を示したのはRD-18S細胞で、 接種初代で高い感染価が得られた。同定は市販エンテロウイルス混合抗血清、 単味抗血清およびエコープール抗血清(EP95)を用い、 いずれの抗血清も良好な成績が得られた。

香川県衛生研究所 三木一男 亀山妙子 山西重機

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