<参考> 感染症発生動向調査における梅毒の報告基準

(Vol.23 p 92-92)

定義:スピロヘータの一種である梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum )の感染によって生じる性感染症である。

臨床的特徴:I期梅毒として感染後3〜6週間の潜伏期の後に、 感染局所に初期硬結や硬性下疳、 無痛性のそけい部リンパ節腫脹がみられる。II期梅毒では、 感染後3カ月を経過すると皮膚や粘膜に梅毒性バラ疹や丘疹性梅毒疹などの特有な発疹が見られる。

感染後3年以上を経過すると晩期顕症梅毒としてゴム腫、 梅毒によると考えられる心血管症状、 神経症状、 眼症状などが認められることがある。なお、 感染していても臨床症状が認められない無症候梅毒もある。

先天梅毒は、 梅毒に罹患している母体から出生した児で、 胎内感染を示す検査所見のある症例、 II期梅毒疹、 骨軟骨炎など早期先天梅毒の症状を呈する症例、 乳幼児期は症状を示さずに経過し学童期以後にHutchinson 3徴候(実質性角膜炎、 内耳性難聴、 Hutchinson歯)などの晩期先天梅毒の症状を呈する症例がある。

報告のための基準:

○診断した医師の判断により、 症状や所見から当該疾患が疑われ、 かつ、 以下のいずれかの方法によって検査所見による診断がなされたもの。

 ・病原体の検出:発疹からパーカーインク法などでT. pallidum が認められた場合

 ・血清抗体の検出[以下の(1)と(2)の両方に該当する場合]

  (1)カルジオリピンを抗原とする以下のいずれかの検査で陽性のもの
    ・RPRカードテスト
    ・凝集法
    ・ガラス板法

  (2) T. pallidum を抗原とする以下のいずれかの検査に陽性のもの
    ・TPHA法
    ・FTA-ABS法

○無症候梅毒では、 カルジオリピンを抗原とする検査で16倍以上陽性かつT. pallidum を抗原とする検査が陽性のもの

○先天梅毒は、 下記の5つのうち、 いずれかの要件をみたすもの

 (1)母体の血清抗体価に比して、 児の血清抗体価が著しく高い場合
 (2)血清抗体価が移行抗体の推移から予想される値を高く超えて持続する場合
 (3) TPHA・IgM抗体陽性
 (4)早期先天梅毒の症状を呈する場合
 (5)晩期先天梅毒の症状を呈する場合

○以下の4つに分類して報告する

 1.早期顕症梅毒
    ア.I期梅毒
    イ.II期梅毒
 2.晩期顕症梅毒
 3.無症候梅毒
 4.先天梅毒

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