アライグマ回虫による脳炎、 2000年−米国・シカゴ、 ロサンゼルス

(Vol.23 p 97-98)

アライグマの回虫Baylisascaris procyonis (BP)は通常アライグマの小腸に寄生する。ヒトもアライグマの糞に汚染された土壌などから経口的に感染し、 幼虫移行症を生ずるが、 脳炎は特に重篤である。2000年に、 シカゴで貧血と異食症の2歳半の男児が、 ロサンゼルスで発達障害と異食症の17歳の少年が、 BPによる脳炎として報告された。2例とも、 数日間の微熱の後、 急激に精神・神経症状が出現、 急速に除脳硬直状態に陥った。末梢血と髄液の好酸球増多が顕著で、 1例は血清反応により、 1例は脳の生検により診断が確定した。また、 MRIでの大脳白質深部のびまん性病変も特徴的な所見だった。2例ともアルベンダゾ−ルとステロイドで治療されたが改善せず、 重篤な後遺症が残った。

北米では地域によりアライグマの68〜82%がBPを保有しており、 一般家庭でもアライグマの糞による汚染には注意が必要であることが強調された。

(CDC、 MMWR、 50、 No.51&52、 1153、 2001)

今月の表紙へ戻る


IASRのホームページに戻る
Return to the IASR HomePage(English)

idsc-query@nih.go.jp


ホームへ戻る