<速報>中学校でのインフルエンザウイスルA(H1)型およびB型の混合流行−山梨県

(Vol.23 p 92-93)

2002年2月12日、 県南東部に位置する中学校で集団かぜが発生した。患者の症状は発熱(37〜39℃)、 咳、 咽頭痛、 鼻汁などの呼吸器症状が主で、 中には下痢などの胃腸炎症状を伴う患者もみられた。学年別の罹患者は1年生119名中46名、 2年生82名中20名、 3年生98名中21名であった。

患者7名(1年生6名、 2年生1名)について咽頭ぬぐい液を採取し、 MDCKおよびCaCo-2細胞に接種したところ、 7名全員からウイルスが分離(CaCo-2細胞では7株、 MDCK細胞では5株)された。分離ウイルス株の抗原分析を国立感染症研究所から分与された今シーズン用インフルエンザウイルスのフェレット抗血清を用い赤血球凝集抑制(HI)試験(0.6%モルモットの赤血球使用)により行った。抗A/New Caledonia/20/99(H1N1)、 抗A/Moscow/13/98(H1N1)、 抗A/Panama/2007/99(H3N2)、 抗B/Johannesburg/5/99、 抗B/Akita(秋田)/27/2001血清(ホモHI価はそれぞれ1,280、 2,560、 2,560、 640、 160)のHI抗体価は7名のうち2名から分離されたウイルス株(4株)を抗原とした時はそれぞれ640、 80、 <10、 <10、 <10を示し、 他の5名から分離されたウイルス株(8株)を抗原とした場合はそれぞれ<10、 <10、 <10、 40〜80、 <10〜20であった。この結果から2名(1年生1名、 2年生1名)から分離されたウイルスはA(H1)型、 1年生5名から分離されたウイルスは標準株より少し抗原変異したB型インフルエンザウイルスであると同定された。

一方、 上記の7名の患者のうち6名(1年生5名、 2年生1名)の急性期・回復期のペア血清についてHI抗体価の測定を行った結果、 A(H1)型ウイルスが分離された2年生1名はA/New Caledonia/20/99(H1N1)およびA/Moscow/13/98(H1N1)に対する抗体価の有意な上昇が認められ、 また、 B型ウイルスが分離された1年生5名はB/Johannesburg/5/99に対し、 それぞれ4倍以上の抗体価の上昇がみられた。この結果から、 この中学校の集団かぜはA(H1)型およびB型インフルエンザウイルスによる混合感染によるものと推定された。

なお、 本県ではこの中学校の他に小学校の集団かぜで1月29日発生事例からA(H1)型、 2月4日発生事例からA(H3)型、 2月18日発生事例からB型インフルエンザウイルスが確認されている。

山梨県衛生公害研究所
浅川洋美 大石陽子 町田篤彦 小澤 茂
富士北麓・東部地域振興局健康福祉部吉田保健所
土屋貴美子 中川正祥

今月の表紙へ戻る


IASRのホームページに戻る
Return to the IASR HomePage(English)

idsc-query@nih.go.jp


ホームへ戻る