2001年6月4日に台湾CDCは、 髄膜炎菌性髄膜炎による1例の死亡に関する報告を受けた。症例は同年5月14日に兵役となり、 あるキャンプで訓練を受けていた軍人であったが、 5月31日に発熱し、 6月1日に死亡した。同時に、 同じ駐留地から当時、 約20名の発熱を訴える症例が隔離下で治療を受けるために転送されていたことも報告された。台湾CDCと台湾防衛省軍医総監事務所(Surgeon General's Office of the Ministry of National Defense)、 国立予防医学研究所(National Institute of Preventive Medicine)の協力により、 5月16日〜6月4日の期間を対象とした疫学調査が行われた。
その結果、 血中から起因菌(B群髄膜炎菌)が分離された確定例はこの死亡例1例のみであったが、 隔離された24例の咽頭ぬぐい液からは3名が髄膜炎菌陽性となり、 同時期、 発熱と頭痛を訴えていた49名の兵員においては、 6月4日時点の咽頭ぬぐい液で5名が陽性と判明した。
感染の拡大阻止のために、 当該キャンプにおけるすべての兵員と、 症例との接触歴のある病院関係者、 家人らは予防内服を行った。以後新たな感染者は発見されておらず、 今回の事例は散発的であったと推測された。
(台湾Epidemiology Bulletin、 18、 No.1、 1、 2002)