同種組織片移植に関連した細菌感染症、 2002年−米国

(Vol.23 p 123-124)

22001年11月7日に23歳の男性がミネソタ州のある病院で、 大腿骨軟骨の同種組織片を使った膝の再建手術を受けた。11月10日に手術部位の痛みが出現し、 急速にショック状態に陥り、 その翌日に死亡した。死亡後に血液培養よりClostridium sordellii が検出された。

また同11月13日に、 イリノイ州の病院で17歳の男性が大腿骨軟骨と半月板の同種組織片を使った膝の再建手術を受けた。その翌日、 発熱をみたが、 第1世代のセフェムの投与に反応せず、 術後8日目に細菌性関節炎にて地域の病院に入院した。アンピシリ−スルバクタムの投与に反応して良好な経過をとった。嫌気性菌の培養は陰性であった。

これら2人の患者に使用された3つの組織片は同一の死体提供者Aより採取され、 また同一の組織加工会社Aにより処理された。提供者Aはカルテによれば敗血症状態ではなく、 また麻薬注射の使用や腹部外傷などのクロストリジウム感染のリスクも認めなかった。前述した2例を含めて、 提供者Aからの10の組織片が9人の患者に移植されたが、 他に感染徴候を示したものはいなかった。CDCは、 提供者Aからの使用前の19組織片のうち2つからと、 組織を浸漬する液よりC. sordellii を検出した。

同種組織片移植に伴う感染症症例の調査により、 2002年3月11日までにCDCは前述の2例を含む26例の症例の報告をうけた。うち13例はクロストリジウム属感染症であり、 そのうち11例は組織加工会社Aからの組織片を移植されていた。クロストリジウムに汚染されていたと考えられる組織は無菌的に処理されていたが、 最終的な滅菌は行われていなかった。

(CDC、 MMWR、 51、 No.10、 207、 2002)

今月の表紙へ戻る


IASRのホームページに戻る
Return to the IASR HomePage(English)

idsc-query@nih.go.jp


ホームへ戻る