ソルビトール陽性大腸菌O157:H-による感染症例の増加−ドイツ

(Vol.23 p 149-149)

復活祭前の10日間(3月19〜28日)に、 溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症した4名の子供と下痢を発症した家族1名がドイツ北ライン・ヴェストファーレン州のミュンスター大学病院において治療を受けた。当該大学の衛生研究所において、 全症例の糞便からソルビトール陽性の大腸菌O157:H-が分離された。ロベルト・コッホ研究所(Robert Koch-Institute;RKI)には2002年3月の初めから、 本バリアントの腸管出血性大腸菌(EHEC)が他に10例(発症日2月26日〜3月17日)報告されている。症例はすべて子供で、 年齢分布は7カ月〜11歳(中央値 2.5歳)であった。うち6名はニーダーザクセン州の5つの異なる地域、 2名はザクセン州、 残りはバイエルン州と北ライン・ヴェストファーレン州であった。6名がHUSを発症し、 1名が血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)により死亡した。性別は4名が女性であり、 3名はドイツ出身ではなかったが、 発症前の渡航歴はなかった。今年の初めからRKIに報告されたHUS 疑い16症例のうち、 2症例は症状の記載(溶血性貧血、 血小板減少、 急性腎不全)が不完全であった。これら疑い例については現在調査を続けている。

2002年1月1日〜4月14日まで、 EHEC感染262例がRKIに報告されている。112例について血清型別が行われ、 大腸菌O157感染と診断されたのは35名であった。このうち14名は第10週以後であり、 7名はニーダーザクセン州であった。

大腸菌O157:H-のソルビトール陽性バリアントは1988年にバイエルンで初めて記載され、 1996年には同州で集団事例を引き起こした。現在の症例増加に関しての疫学的関連性を調べるためにアンケート形式の喫食調査を実施しているが、 現在までのところ共通の項目は見出されていない。調査は現在も続行中である。

(Eurosurveillance Weekly、 No.17、 2002)

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