North Queenslandにおいて1995〜1999年までの5年間に、 113例の確定例と7例の疑い例を合わせ計120例の髄膜炎菌性髄膜炎患者届け出がなされた。この地域における年間の患者発生は人口10万対2.9〜5.0で変動している。届け出例のうち58例(48%)が女性で、 最も患者の多い年齢群は0〜4歳で、 最も少ない40歳以上の年齢群の約15倍のリスクであった。25例(21%)は先住民族であるアボリジニーとトレス海峡諸島人で、 それらの発生率が人口10万対10.4であるのに対し、 非先住民族の発生率は人口10万対3.5で、 先住民族が約3倍発症しやすいという結果であった(IRR=3.0、 95%CI=1.9〜4.7)。髄膜炎菌の血清群別ができた105例のうち、 B群が76例(72%)、 C群が21例(20%)で、 A群はなく、 すべての年においてB群が多数を占めていた。髄膜炎菌による死亡者は7名(男4、 女3)で、 うち6名は非先住民族であり、 血清群別の致命率はC群が9.5%(2/21)、 B群が6.6%(5/76)であった。この期間中、 B群とC群それぞれ1件ずつの集団発生があった。
1999年のオーストラリア国内における分離株の63%、 Queensland州における70%がB群であり、 今回の結果は州と国における髄膜炎菌の疫学と一致している。1990〜1994年の5年間に行われた同じ調査と比較すると、 分離菌株中のC群の割合が70%から20%に大きく減少したことと、 先住民族の非先住民族に対する罹患率比が12.6から3.1へ減少したことが特徴的である。前者はC群による集団発生数が減少したためであるが、 それは先住民族における集団発生が減少したことによるものであり、 先住民族の罹患率比が減少した理由となっている。
(Australia CDI、 26、 No.1、 44、 2002)