A群コクサッキーウイルス16型による手足口病の流行−高知県

(Vol.23 p 144-144)

高知県において2002年3月ころから、 感染症発生動向調査定点からの手足口病の報告が増加し、 当初は一部の地域からの報告であったが、 徐々に拡大がみられ、 5月現在では県下全域(特に県中央部の高幡、 中央西、 高知市では警報基準値定点当たり5.0を超している)における大きな流行となっており、 地方感染症情報センターが注意喚起の広報を行った。

2002年2〜4月に検査定点から搬入された手足口病の検体は、 2月1件、 3月2件、 4月9件の計12件で、 いずれも材料は咽頭ぬぐい液であった。うち9件からA群コクサッキーウイルス16型(CA16)を、 1件からエンテロウイルス71型(EV71)を検出した。EV71は2月の材料からの検出で、 Vero、 RD-18S細胞で感受性を示した。CA16の9件はいずれも3月以降の材料からの検出で、 Vero、 LLC-MK2細胞および哺乳マウスで感受性を示した。ウイルスの同定は国立感染症研究所および愛媛県立衛生環境研究所より分与された抗血清を用いて行った。

ウイルスを検出していない患者2名を含めた12名の症状は、 発疹が12名、 発熱9名(37.3〜40.0℃)であり、 比較的軽症と考えられた。年齢は0歳2名、 1歳3名、 2歳6名、 3歳1名であった。性別は1歳の女児1名の他はすべて男児であった。

手足口病は従来夏季に流行する疾患であり、 本県においても流行のあった年は6〜7月に流行曲線のピークがみられており、 今回の流行は発生時期が2〜3カ月早く、 従来とは違った様相を呈している()。5月に入ってからも15日までに手足口病の検体3件と手足口病と無菌性髄膜炎を疑う検体2件が搬入されており、 今後、 従来のピークの時期を迎え、 夏場にかけての流行の拡大が懸念される。今後の動向を監視していきたい。

高知県衛生研究所
千屋誠造 永安聖二 刈谷陽子 宮地洋雄 小松照子 山脇忠幸 上岡英和

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