クリプトスポリジウムの集団感染事例−兵庫県

(Vol.23 p 145-145)

2002年3月4日、 洲本市内の医療機関から「複数の高校生が下痢等の症状を呈して受診している。」との連絡が兵庫県洲本健康福祉事務所(保健所)にあった。

同事務所が調査したところ、 有症者は洲本市内のA高校の2年生であり、 いずれも2月19日〜23日の日程で、 北海道への修学旅行に参加していることが判明した。生徒、 教職員など旅行参加者212名中129名が発症、 31名が医療機関を受診した。調査の結果、 参加者以外からの有症者はなく、 発症日時は3月1日〜2日頃に集中していた。

有症者の検便の検査では、 病因物質と思われるウイルスや食中毒菌は検出されなかったため、 当所で検査項目を広げて検査した結果、 有症者の便67件中61件からCryptosporidium parvum が分離され、 PCR-RFLP分析および18s rRNA遺伝子領域の塩基配列分析の結果から、 遺伝子型はヒト型であることが判明した。

また、 A高校と同じ宿泊施設を同時期に利用していた兵庫県内の1団体について、 豊岡健康福祉事務所(保健所)が調査したところ、 24名中18名が同様の症状を呈していたことが判明した。現在のところ感染源の特定には至っていない。

兵庫県立健康環境科学研究センター
押部智宏 辻 英高 小野一男* 増田邦義
  (*現 神戸常盤短期大学)

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