<参考> 感染症発生動向調査における「急性ウイルス性肝炎」の報告基準
(Vol.23 p 170-170)

定 義:ウイルス感染が原因と考えられる急性肝炎(A型肝炎、 B型肝炎、 C型肝炎、 その他のウイルス性肝炎)である。慢性肝疾患、 無症候性キャリアーおよびこれらの急性増悪例は含まない。

臨床的特徴:一般に全身倦怠感、 感冒様症状、 食思不振、 悪感、 嘔吐などの症状で急性に発症して、 数日後に褐色尿や黄疸をともなうことが多い。発熱、 その他の全身症状を呈する発病まもない時期には、 感冒あるいは急性胃腸炎などと類似した症状を示す。

臨床病型は、 黄疸をともなう定型的急性肝炎のほかに、 顕性黄疸を示さない急性無黄疸性肝炎、 高度の黄疸を呈する胆汁うっ滞性肝炎、 急性肝不全症状を呈する劇症肝炎などに分類される。

報告のための基準:
 ○診断した医師の判断により、 症状や所見から当該疾患が疑われ、 かつ、 以下のいずれかの方法によって検査所見による診断がなされたもの

 1)A型肝炎
  ・血清抗体の検出
   例、 血清中のIgM・HA抗体が陽性のもの

 2)B型肝炎
  ・血清抗体の検出
   例、 患者血清中のIgM・HBc抗体が陽性のもの
    (キャリアーの急性増悪例は含まない)

 3)C型肝炎
  ・抗原の検出
   例、 HCV抗体陰性で、 HCV・RNAまたはHCVコア抗原が陽性のもの
  ・血清抗体の検出
   例、 患者ペア血清で、 第2あるいは第3世代HCV 抗体の明らかな抗体価上昇を認めるもの

 4)その他のウイルス性肝炎:HDV、 HEVなど上記以外の肝炎ウイルスによる急性肝炎や、 その他の非特異的ウイルスによる急性肝炎
  ・病原体検査や血清学的診断によって、 急性ウイルス性肝炎と推定されるもの。
  (この場合には、 病原体の名称についても報告すること)

○上記の急性ウイルス性肝炎の報告のための基準を満たすもので、 かつ、 劇症肝炎となったものについては、 報告書の「症状」欄にその旨を記載する。劇症肝炎については、 以下の基準を用いる

 ・肝炎のうち症状発現後8週以内に高度の肝機能障害に基づいて肝性昏睡II度以上の脳症をきたし、 プロトロンビン時間40%以下を示すもの。発病後10日以内の脳症の出現は急性型、 それ以降の発現は亜急性型とする。

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