オーストラリアのC型肝炎サーベイランス

(Vol.23 p 180-181)

1998年、 オーストラリアにおけるC型肝炎サーベイランスの改善を目的として、 C型肝炎サーベイランス委員会が設立され、 翌1999年に発生率と有病率のサーベイランス、 C型肝炎の長期予後のサーベイランスの2種類のサーベイランス活動を行う方策が承認された。

国のサーベイランス(NNDSS)へのC型肝炎の報告は、 1997年以降Queensland州を除いた各州における異なるシステムで届けられた数字が上げられている。1997〜2000年に報告された患者発生の総数は、 それぞれ154、 350、 396、 441例である。C型肝炎の有病率は、 全員にスクリーニングテストを行っている低リスクの集団について把握可能であり、 2000年の献血者に対するC型肝炎抗体検査では、 955,984件中152件が陽性で、 献血者10万対16であった。高リスク集団である静注薬物使用者については、 1995年から年に1度国内の多施設においてNeedle and Syringe Programにおける調査が行なわれており、 2000年のC型肝炎抗体検査件数は2,523件、 抗体陽性率は53%(男52%、 女55%)であった。また、 最近のHCV感染レベルの尺度とされる、 3年以内に静注薬物使用を始めた者における抗体陽性率は、 1995〜2000年にはそれぞれ22、 13、 13、 17、 20、 26%で推移し、 いずれの年も男性より女性の陽性率が高かった。

州ごとに異なった既存のシステムが存在する複雑な状況下に新システムを導入することは困難であり、 国内サーベイランスの改善にあたっては、 州と国の持続的な協議・連携が不可欠である。

(Australia CDI、 26、 No.1、 14、 2002)

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