ヨーロッパのダニ媒介性脳炎の変遷

(Vol.23 p 182-182)

ヨーロッパ、 ロシアにおけるダニ媒介性脳炎の罹患率は過去20年間で変化したが、 その傾向の地理的分布は一様ではない。最も劇的な変化は1992〜93年のラトビア、 リトアニア、 ポーランド、 ベラルーシにおける2〜30倍もの増加である。また、 エストニア、 ドイツ、 スロバキア、 チェチェンにおいても明らかに増加している。ロシアでは1970年代中ごろから、 スイス、 スウェーデン、 フィンランドでは1980年代中頃から一定の割合で増加し続けている。また1997年には、 ノルウェーで最初の症例が報告された。

一方でウイルス分布南端のスロベニア、 クロアチア、 ハンガリーでは特に大きな変化はない。また、 唯一ワクチン接種を広範かつ組織的に行っているオーストリアでは、 1980年代初めより減少し続けている。

ダニ媒介性脳炎の疫学は複雑で、 温暖化などに伴う生物学的な要因と、 社会体制などの非生物学的な要因が絡み合う。例えば、 1992〜93年にかけての罹患率の急激な増加と、 東ヨーロッパにおける共産圏の崩壊はほぼ同時期であった。衛星などを利用して気候の変化など国境と関係のない要因と、 国ごとの要因とを合わせて分析することが有用と思われる。

(Eurosurveillance Weekly、 No.23、 2002)

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