エコーウイルス13型、 2001年−米国

(Vol.23 p 203-203)

米国ではエコーウイルス13型(E13)の分離は、 1970〜2000年にCDCに報告されたエンテロウイルス分離報告約45,000件中、 わずか65件とまれなウイルスで、 これまでE13流行の報告はなかった。2001年の6月までに8州立公衆衛生研究所、 1民間研究所からCDCにE13分離数の増加が報告され、 そのほとんどは無菌性髄膜炎と関連している。以下に米国内におけるE13の動向と、 ルイジアナ、 ミシシッピ、 モンタナ、 テネシー州における無菌性髄膜炎流行調査の結果を要約する。

CDCによるエンテロウイルスサーベイランスシステム(NESS)では、 各州の公衆衛生研究所からのウイルス分離報告は任意とされており、 無菌性髄膜炎は1995年に全国的な届け出疾患から除外され、 症例定義が全国で統一されていない。本報告における無菌性髄膜炎患者は、 臨床所見と検査結果に基づく医師の診断による。

2001年8月14日までに、 13の州で患者76例からE13が分離された(テネシー州26、 ミシシッピ州10、 ルイジアナ州9など)。検体は2001年の3〜6月に採取されたもので、 76例中51例(67%)が髄液、 12例(16%)が便または直腸ぬぐい液から分離された。76例中男性が47例(62%)であり、 年齢は生後2週〜29歳(中央値7カ月)で、 73例(96%)は15歳未満、 41例(54%)が1歳未満の乳児、 29例(38%)が3カ月未満であった。臨床診断は52例(68%)について報告され、 無菌性髄膜炎50例、 熱性疾患1例、 下痢1例であった。無菌性髄膜炎患者50例中45例は、 4〜7月に4つの州(テネシー26、 ミシシッピ9、 ルイジアナ8、 モンタナ2)で起きた流行で発生している。

ルイジアナ州:5月22日〜6月20日に1病院で無菌性髄膜炎入院患者が27例みられ、 2000年同時期の無菌性髄膜炎入院患者数の約9倍に増加した。27例中20例(74%)が同じ地区からの発生(入院率は人口10万対20)であった。症状は発熱(94%)、 頭痛(77%)、 嘔吐(77%)、 項部硬直(50%)、 羞明(23%)などであった。

ミシシッピ州:5月5日〜7月31日に、 1地域医療センターから無菌性髄膜炎患者56例が報告され、 うち41例(73%)は、 ルイジアナ州の患者多発地区に隣接した地区の住民であった。その地区の入院率は人口10万対 111である。症状は発熱(75%)、 頭痛(70%)、 嘔吐(55%)、 吐気(52%)、 項部硬直(20%)などであった。

モンタナ州:6月8日〜7月11日、 州東南部の1地区から無菌性髄膜炎患者23例が報告された(入院率人口10万対 181)。州当局によるその後の調査の結果、 隣接した地区よりさらに18例の患者が報告された。

テネシー州:4月以降、 1病院に無菌性髄膜炎患者約250名が入院する流行がみられ、 州当局によって調査中である。患者75例中33例がE13によるものと確定された。

MMWR編集部註:これは、 米国におけるE13の広域流行についての初めての報告である。E13は、 2000年にイングランド、 ウェールズ、 ドイツにおいて無菌性髄膜炎の流行の原因となったことが報告されている(本月報Vol.23、 No.3外国情報参照)。米国NESSには、 1997年にE30、 E6、 E7、 1998年にE30、 E9、 E11、 1999年にE11、 E16、 E9などが多く報告されていた。

E13に限らず、 ポリオ以外のエンテロウイルスに対する特異的な予防法や対策はなく、 念入りな手洗いを頻繁に行なうこと(特におむつの交換後)、 汚染箇所の塩素消毒を行い、 家庭用品や飲料用容器の共有を避けること、 などが感染拡大の減少に有効と考えられる。

(CDC、 MMWR、 50、 No.36、 777-780、 2001)

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