無菌性髄膜炎患者からのエコーウイルス13型の分離状況、 2002年−岐阜県

(Vol.23 p 227-228)

岐阜県では、 2002年4月初旬より無菌性髄膜炎患者の検体搬入が始まり、 5月中旬以降は検体数が急増し、 1998年の大流行以来4年ぶりの状況になっている。

7月24日現在、 65検体(33人)が搬入され、 このうち21検体(13人)からエコーウイルス13型(E13)が分離された。現在も検体の搬入は続いているが、 以下に概要を示す。

ウイルス分離は、 RD-18S細胞、 HeLa細胞、 Vero-E6細胞を用い、 検体量に余裕のある場合にはRT-PCRを実施し、 エンテロウイルスの存在を確認した。プライマーはKUANおよびAltschulらの報告の2系統を使用した。

結果はに示したが、 分離ウイルスは、 いずれも初代でRD-18S細胞に明瞭なエンテロウイルス様CPEを示し、 デンカ生研のE13単味抗血清20単位で容易に中和された。また、 12検体はHeLa細胞から、 7検体はVero-E6細胞からも分離された。

PCRは、 6月までに搬入された36検体中、 E13同定済の16検体すべておよび同定中の2検体を含む7検体の合計23検体が陽性であった。

検体は、 各地域の医療機関より搬入され、 流行が広範囲であることをうかがわせた。また、 患者年齢も1カ月齢〜13歳の中学生までの広い年齢層に認められた。

E13は、 2000年以前では1980年に岐阜県から1株の分離が報告されている。当時の担当者は既に退職し詳細は不明であるが、 報告された病原微生物検出報告票(個人票)によれば、 ウイルスはポリオ流行予測調査で8月に県中央部のK村で採取された5歳女児の便より分離されたものであるが、 1980年分離株は所在不明で、 今年度の分離株との変異を比較することはできなかった。なお、 同時に採取された他の検体からは、 コクサッキーウイルスB4型が16株、 エコーウイルス(E)3型が8株と多数分離され、 他にE18、 E25、 アデノウイルス2型が各1株報告されている。

今年度の流行株については、 分離陰性でPCR陽性の検体も認められることから、 シークエンス等を実施し詳細な解析を行う予定である。

岐阜県保健環境研究所 野田伸司 猿渡正子 青木 聡 所 光男

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