ライム病の輸入感染例

(Vol.23 p 251-252)

本年(2002年)6月〜8月末にかけて米国・ニューヨーク州山中で開催された国際キャンプに参加した日本人高校生2名がライム病と診断され、 現地で治療を受けた。1名は自覚症状はないが虫刺症をきっかけに現地病院を受診、 ライム病抗体陽性であったため、 7月26日よりドキシサイクリンによる治療を受けた。他の1名は8月10日から発熱感、 倦怠感、 筋肉痛を訴え、 現地医療機関を受診、 臨床診断によりライム病とされ、 8月12日よりドキシサイクリンによる治療を開始している。これら参加者2名は帰国後、 横浜市立市民病院を受診、 国立感染症研究所にてライム病抗体陽性であることが確認された。いずれの症例も、 現在症状は軽快している。

同国際キャンプには欧州、 アフリカ、 南米各国、 日本等から参加者があり、 キャンプ地では屋外でのログキャビン作り等で国際交流を行っている。各国からの参加者数は約60名程度で、 うち20名ほどに同様の症状があり、 現地病院にて治療を受けていることから、 ライム病の集団事例であったと考えられる。同州は、 1999年には人口10万人当たりの罹患率は24.2であり、 コネチカット州(98.0)ロードアイランド州(55.1)に次ぐ流行地域であった。

詳細は現在調査中であるが、 本邦からの参加人数は上記2名以外に数名参加しているとの情報を得ていることから、 上記キャンプに参加し、 キャンプ中何らかの症状があったが、 現地の病院を受診していない場合、 もしくは帰国後何らかの症状があった、 もしくは症状が持続している参加者は、 近医でライム病の検査を受けることが望ましいと考えられる。

また今後、 ライム病の流行地域で同様の野外活動へ参加する場合には、 参加者はライム病媒介マダニの刺咬を受けないよう十分注意すべきである。

ライム病に関する情報:
・CDC:Lyme disease - United States, 1999
 http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm5010a1.htm
・感染研:感染症週報、 感染症の話、 ライム病
 http://idsc.nih.go.jp/kansen/k02_g1/k02_11/k02_11.html

横浜市衛生研究所・検査研究課 武藤哲典 山田三紀子
横浜市立市民病院・感染症部  相楽裕子 足立拓也
国立感染症研究所・細菌一部  川端寛樹 渡辺治雄

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