全国的サーベイランス対象疾患の症例定義:バイオテロリズムに用いられる可能性のある病原体による疾患の追加−カナダ

(Vol.23 p 324-325)

カナダでは、 2001年9月11日の米国におけるテロリストの攻撃を受けて、 バイオテロリズムに用いられる可能性のある病原体を全国サーベイランスの対象に加えることとし、 報告すべき病原体とその感染症の一覧を更新した。既に2000年5月にサーベイランス対象に加えられていた、 Clostridium botulinum 毒素(ボツリヌス中毒の病因)、 Yersinia pestis (ペスト)に引き続き、 今回は、 Bacillus anthracis (炭疽)、 variola major(天然痘)、 Francisella tularensis (野兎病)、 エボラおよびマールブルグ出血熱を引き起こすfilovirus、 ラッサ熱の原因となるarenavirus、 クリミア・コンゴ出血熱を起こすnairovirusの7病原体とその疾患が加えられた。これにより、 最も危険な病原体による感染症は全国レベルでモニターできることになった。また今回の追加の結果、 カナダにおける全国サーベイランス対象疾患は従来の42から49となった。

「カテゴリーA」に含まれるバイオテロ対策上の高度優先病原体は、 1)散布あるいは人から人への伝播が容易であること、 2)多くの死亡者を出して、 公衆衛生上大きな影響を及ぼす可能性が高いこと、 3)大衆をパニックに陥らせ、 社会的混乱を引き起こせること、 4)現存の公衆衛生対策以外に特別な対策をとる必要があること、 等の4点から、 テロリストらによって用いられる可能性が最も高いと考えられている。今回は、 この「カテゴリーA」疾患をサーベイランス対象とすることの検討を健康サーベイランス・ワーキンググループの感染症サブグループ(CDSS)へ依頼し、 CDSSが感染症予防コントロールセンター(CIDPC)へさらに詳細な情報の提供を求め、 CIDPCでは種々の専門家の意見を入れて症例定義を確立し、 CDSSはそれをもとに現存の基準との整合を図った後に発表となった。

各疾患の症例定義の詳細については原文(http://www.hc-sc.gc.ca/pphb-dgspsp/publicat/ccdr-rmtc/02pdf/cdr2821.pdf)を参照下さい。

(Canada CDR、 28、 No.21、 2002)

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