Shigella flexneri 血清型5aによる感染症例−青森県

(Vol.24 p 6-6)

2002(平成14)年11月初め、 八戸市で2、 三戸郡で1のShigella flexneri 血清型5a菌による感染者があったので、 その概要を報告する。

事例1:11月6日に八戸市内の医療機関より、 同市在住の33歳女性の細菌性赤痢感染症発生届け出があった。保健所による聞き取り調査の結果、 患者は11月2日(土)朝から微熱、 昼に39℃の発熱と腹痛、 嘔気を呈し、 夜に血便が数回あり、 市内の休日夜間救急診療所を受診し座薬と点滴治療を受けた。翌3日朝からは1時間に1回の水様便があり、 転院し、 検便が実施された。抗菌薬の投与を受け、 5日には下痢が5回あったが腹痛は無く食欲もあった。検便の結果、 S. flexneri 5aが分離された。なお、 患者の家族は夫(39歳)と子供3人の5人世帯であり、 青森保健所で4人の検便を実施したところ、 9日(土)に夫からも当該菌が分離された。

事例2:11月7日に三戸郡五戸町内の病院より、 同町在住49歳女性の細菌性赤痢感染症発生届け出があった。患者は10月31日(木)午前から体調が悪く、 午後ふらつきのため臥床し、 19時に40℃の高熱があった。翌日の11月1日の0時に水様便、 早朝まで下痢10回、 日中に下痢回数は減ったが腹痛があり、 夕方、 A医院を受診後、 転院・入院し、 抗菌薬、 補液の投与を受けた。2日の夕方から朝まで1時間に1回の粘液便と腹痛があったが解熱し快方に向かった。同日、 検便が実施され、 7日にS. flexneri 5aが分離された。青森保健所で家族3人の検便と台所等のふきとり検査を実施したが当該菌は分離されなかった。

両事例で分離された赤痢菌の生物化学的性状はRapid 20 E(ビオメリュー)でコード 0000040を示し、 PCR 法はipaHinvE が陽性、 制限酵素Xba I処理のパルスフィールドゲル電気泳動法では、 両事例の患者由来菌株は同一パターンを示した()。

今回分離された菌と同一血清型菌の分離例は稀であり、 Bangladeshの国際下痢症センターでは1997年1月1日〜2000年6月30日に分離されたS. flexneri のうち5a型菌は1菌株(0.2%)にすぎない(Talukder K.A., et. al.:J. Clin. Microbiol. 39, 3757-3759, 2001)。

上記2事例について八戸保健所で感染源調査を実施したが、 患者同士の接点は無く、 最近の海外渡航歴も無く、 感染1週間前からの喫食調査でも共通食品等は見出されていない。

青森県環境保健センター 大友良光
八戸保健所       齋藤和子

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