ウエストナイルウイルス(WNV)のサーべイランス概要、 2002年1月〜11月(暫定)−米国

(Vol.24 p 14-14)

ヒトのサーべイランス:2002年に報告された3,389例のWNV関連疾患のうち2,354例(69%)がウエストナイル髄膜脳炎(WNME)、 704例(21%)がウエストナイル熱(WNF)、 331例(10%)が非特異的疾患であった。報告は、 37の州とコロンビア特別区からなされており()、 イリノイ州、 ミシガン州、 オハイオ州、 ルイジアナ州、 インディアナ州の5つの州のみで2,179例(64%)を占めた。WNMEの発症は6月10日〜11月4日までで、 ピークは8月24日の週であった。

報告された全症例の年齢中央値は55歳(1カ月〜99歳)であったが、 WNMEでは59歳、 WNFでは48歳であった。WNME 2,354例中199例(9%)が、 WNF 704例中2例(0.3%)が死亡した。

動物のサーべイランス:42の州とコロンビア特別区がカラスやアオカケスなど合計14,122羽のWNVに感染し死亡した鳥を報告した。死亡した鳥の調査は1月10日〜11月7日まで行われ、 最も多かったのは8月10日の週であった。ヒト以外の哺乳動物では9,157例の報告があり、 その99.9%が馬、 その他に犬、 リスなどであった。

蚊は約130万匹、 88種について調べられた。WNVが検出された蚊の55%はイエカ属であったが、 初めてネッタイシマカやハマダラカなどからも検出された。

WNVの活動性を示す最初の指標:多くの場合、 その地域におけるWNVの活動性を示す最初の指標は死亡した鳥である。しかしヒトの症例が出た地域においては、 ヒトの症例の発症日が、 WNVに感染した鳥や馬、 蚊からのウイルス検出といったその他の指標よりも早いことが多い。

2002年のアメリカ合衆国におけるWNMEの流行は過去最大のものであった。また、 WNVの臓器移植、 血液製剤、 母乳を介した人から人への感染例や子宮内感染例も初めて報告された。

今後もWNVの活動性をより早く探知し、 蚊のコントロールや知識の普及といった対策を講じることが必要である。

(CDC、 MMWR、 51、 No.50、 1129-1133、 2002)

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