未殺菌牛乳飲用によるクリプトスポリジウム症の集団発生、 2001年−オーストラリア

(Vol.24 p 15-15)

2001年8〜9月、 Queensland州のSunshine Coast公衆衛生局に、 糞便からクリプトスポリジウムが検出された子供8名が報告された。4名が入院し、 全例回復した。発症日からして、 その地域内に存在する共通の感染源が示唆された。疫学調査により、 発症前2週間に曝露された要因のうち、 市販の未殺菌牛乳を飲んだことが唯一統計学的に有意であった。

市販の未殺菌牛乳10検体を分離濃縮処理し、 モノクローナル抗体を用いた蛍光染色とELISAキットによるクリプトスポリジウム抗原検出を行ったところ、 5検体が乳脂中に陽性であった。また、 患者から唯一得られた未殺菌牛乳の飲み残しも、 抗原陽性であった。

本事例はオーストラリア国内における、 未殺菌牛乳の飲用によるクリプトスポリジウム症集団発生の初めての報告である。Queensland州においては、 ヒトの飲用のための未殺菌牛乳の販売は違法であるが、 この牛乳には“未殺菌ペット用ミルク”と表示されていた。子牛はクリプトスポリジウムに高頻度に感染しており、 成牛からオーシストが検出される場合もあり、 不衛生な乳房を介して牛乳が汚染されることがある。

(Australia CDI、 26、 No.3、 449-450、 2002)

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