今冬初発集団かぜからのA/H3N2型インフルエンザウイルスの分離−石川県

(Vol.24 p 8-8)

2002年11月25日、 石川県での今冬初発の集団かぜがA小学校で発生した。患者数は全校生徒 177人のうちの55人で、 4年生が最も多く27人であった。

患者のうち、 4年生の5人について咽頭ぬぐい液を採取し、 MDCK細胞に接種した。その結果、 5人中2人から培養初代でモルモット赤血球凝集能を有するウイルスが分離された。

そこで上記分離ウイルスを抗原として、 今年度ワクチン株を含むインフルエンザウイルス感染フェレット抗血清(国立感染症研究所から分与)を用いて、 赤血球凝集抑制(HI)試験を実施した。

その結果、 2人から分離されたウイルス株の各抗血清に対するHI抗体価は、 抗A/Panama/2007/99(H3N2)(ホモ価 160)が160であったが、 抗A/Moscow/13/98(H1N1)(ホモ価 320)、 抗A/New Caledonia/20/99(H1N1)(ホモ価 320)、 抗B/Shandong(山東)/7/97(ホモ価 640)、 抗B/Hiroshima (広島)/23/01(ホモ価 320)はいずれも<10であった。

また、 分離ウイルスのノイラミニダーゼ(NA)サブタイプは、 RT-PCR法により、 N2型であることが確認された。

以上のことから、 今冬初発の集団かぜは、 A/H3N2(香港)型ウイルスのワクチン株であるA/Panama/2007/99(H3N2)に近縁の抗原性を有するウイルスによるものと考えられた。

石川県保健環境センター 尾西 一 黒崎直子 大矢英紀 芹川俊彦
石川県能登中部保健福祉センター  加茂野恭子 小林勝義

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