愛媛県において10月から流行したノーウォーク様ウイルス胃腸炎

(Vol.24 p 9-10)

毎年冬季に全国規模の流行がみられる感染性胃腸炎は、 愛媛県では例年11月末〜12月にその流行が観察されてきた。今季の感染性胃腸炎の流行は、 例年より4週以上早く第40週から始まり、 急激に増加して第46週には定点あたり患者数21.3人のピークを示した。その後は減少に転じて49週では13.8人となっている。患者の年齢分布は例年と変わらず、 1〜2歳の幼児に最も多かったが、 年長小児から学童期の児童・生徒まで幅広い年齢層で流行がみられた。

原因ウイルスの検索は、 主として小児科定点からの糞便を対象として、 電子顕微鏡法(EM)およびリアルタイムPCRを行った。リアルタイムPCRは糞便から抽出したRNAをRT反応後、 影山らのCOG1F/R、 COG2F/RプライマーとTaqManプローブRING1-Tp(a)、 RING1-Tp(b)およびRING2-Tpを使用して実施した。第36週〜48週の間に検査した160検体から、 ノーウォーク様ウイルス(NLV、 norovirus)が78例[Genogroup II(GII):76例、 GI:2例]検出され、 例年より早く流行した胃腸炎流行の主要原因がNLV(GII)であったことが確認された()。今年は夏季からNLVの散発的な検出が持続し、 9月、 10月、 11月のNLV検出率はそれぞれ21%、 48%、 70%であった。NLV以外には、 EMでアデノウイルス3例、 アストロウイルス2例が検出された。

検出されたNLVのうち、 地域や患者年齢の異なる19株について、 カプシド領域(SKF/Rプライマーの増幅部位、 278bp)の遺伝子塩基配列の解析を行った。近隣結合法を用いた系統樹解析では、 検出された愛媛株はすべてGIIのLordsdale株のクラスターに属した。愛媛株間の相同性は非常に高く、 2株を除くと99%以上の相同性を示し、 県内全域でほぼ同一のウイルス株が蔓延していたと考えられた。

愛媛県立衛生環境研究所
近藤玲子 山下育孝 吉田紀美 大瀬戸光明 浅井忠男 井上博雄
国立感染症研究所・感染症情報センター 西尾 治 秋山美穂

今月の表紙へ戻る


IASRのホームページに戻る
Return to the IASR HomePage(English)

idsc-query@nih.go.jp


ホームへ戻る