SARS検査室診断に関する世界のネッワーク、 2003年−WHO

(Vol.24 p 113-113)

2003年3月17日、 WHOは9カ国11の研究機関に呼びかけ、 重症急性呼吸器症候群(SARS)の調査・研究に関するネットワークを構築した。このWHOのネットワークでは電子顕微鏡の映像や遺伝子シークエンスを共有し、 検体の分析は複数の研究機関で平行して実施している。共通の目標はSARSの原因病原体を検出すること、 診断のための検査を開発することである。

原因病原体については大きな進歩が見られ、 新型コロナウイルスが同定されており、 これがSARSの原因であることを証明するために、 コッホの4条件の残りのものについての検討が最終段階に入っている。

現在使用されている検査には3種類あるが、 それぞれの限界もある。酵素抗体法(ELISA)では、 臨床症状が出現してから20日後でないと検出できない。免疫蛍光抗体法(IFA)では感染後10日で信頼性を持って検出できるが、 培養細胞でウイルスを増殖させる必要があり、 簡単ではない面がある。PCR法は感染初期でも検出できる利点があるが、 偽陰性が多い欠点がある。現在のところ、 これらの検査がSARS症例と確定診断する、 あるいは否定するための手段として確立されたわけではない。

(WHO、 WER、 78、 No.15、 121-122、 2003)

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