小児、 学童・生徒における最近の麻疹の流行、 2003年−スイス

(Vol.24 p 167-167)

2001年と2002年の2月1日〜5月7日の期間にスイス国内で報告された麻疹の患者数はそれぞれ14人と12人であったが、 2003年同時期には合計387人の患者が報告された。主に、 Valais州、 Schwyz州、 Fribourg州、 Zurich州、 Geneva州、 Ticino州から報告されており、 3つの集団発生事例が確認されている。

年齢が分かっている315例のうち、 90例(29%)が5〜9歳、 84例(27%)が10〜14歳、 63例(20%)が15〜19歳であった。8%が20歳以上、 1歳未満はわずか2%にすぎなかった。報告のあった317例中20例(6.3%)が入院し、 28例(8.8%)に合併症が見られた。

予防接種歴の有無が分かっている261例のうち、 予防接種歴のあるものはわずか21例(8.0%)であった。予防接種を受けていない者が最も多かったのは、 15〜19歳の群であった。予防接種を受けたとする者のすべてが、 2回接種のうち1回しか受けていなかった。

現在、 スイスではMMRワクチンによる麻疹予防接種の実施時期を、 1回目は12カ月、 2回目は15〜24カ月とすることを勧告している。この10年間、 麻疹予防接種の接種率は2歳児において約80%と一定している。2000〜2002年では、 2歳で81%、 5〜7歳で89%、 16歳で94%であった。今回の報告症例のなかで予防接種を受けていた者が非常に少ないということは、 今回の集団発生は、 予防接種率が全国と比較しても局所的に低い群で起きたことを示唆している。

今回の事例の初期段階で、 スイス公衆衛生当局は市民と医療従事者にマスメディアを通して、 まだ予防接種を受けていない小児と若年成人群に麻疹予防接種を勧奨した。

(Eurosurveillance Weekly、 7、 No.23、 2003)

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