急性脳症と診断された1歳男児の便からのアデノウイルス7型の検出−北九州市

(Vol.24 p 161-161)

北九州市内の医療機関で2002年9月13日に採取した1歳11カ月の男児の便からアデノウイルス7型(AD7)を検出した。

患者は7日3時頃から40℃の発熱が出現し、 咳、 嘔吐もあり、 近医を受診し、 抗菌薬を処方されていた。同日15時頃不随意運動、 けいれん発作が出現、 意識を消失し、 市立八幡病院に搬送され、 入院した。入院時、 頭部CTおよび髄液所見に異常はなかった。翌日以降、 熱が下がり、 徐々に覚醒したが、 12日に2回けいれん発作があり、 意識を消失した。頭部CTを再検査したところ、 脳浮腫が認められた。13日にも1回意識を消失、 けいれん発作がおこった。その後はけいれん発作は消失し、 19日MRIで脳浮腫も認められず、 回復しつつあったが、 家族の希望により27日に転院となった。

ウイルス検査用の検体として7日に髄液、 13日に便が採取された。ウイルス分離は培養細胞(HEp-2、 RD-18S、 Vero)を用いて行った。髄液から培養細胞で細胞変性効果(CPE)は観察されなかったが、 便からHEp-2によって2代培養でCPEが観察されたので、 中和抗血清による中和試験を試みたところAD7と同定した。

北九州市環境科学研究所 鈴木崇子 村瀬浩太郎 高橋 勉
北九州市立八幡病院 天本正乃

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