ヘルパンギーナ患者からのA群コクサッキーウイルス10型の分離−奈良県
(Vol.24 p 160-160)

10例のヘルパンギーナと診断された患者咽頭ぬぐい液から、 8例のA群コクサッキーウイルス10型(CA10)と1例のアデノウイルス3型を分離・同定した。ウイルス分離には乳のみマウス、 HEp-2、 MA-104およびRD-18S細胞を使用し、 乳のみマウスへの検体接種は2日〜3日後に顕著な下肢麻痺として発症が確認された。その後の同定は、 国立感染症研究所分与の免疫マウス腹水による補体結合反応試験により型識別を行った。また、 HEp-2細胞にCPEが確認された1例についてはデンカ生研製の抗血清による中和試験でアデノウイルスと同定した。ウイルスが分離された患者は、 全例発熱を有するもので2例の家族内発生を含むものであった。また、 ウイルス性発疹症(顔面、 上肢、 下肢)と診断された1例からも、 CA10を分離・同定した。

本県のヘルパンギーナ患者発生の初発は第5週で、 第9週以降からは連続的な発生が観察され、 第22週以降からは定点あたり1.0を超える増加となっており、 現在(第25週)定点あたり3.7の発生数である。地域的には県北部から中和、 南和への広がりが確認されている。なお、 昨年はCA4が主原因ウイルスであった。

奈良県保健環境研究センター
北堀吉映 中野 守 井上ゆみ子 立本行江 足立 修

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