散発性胃腸炎患者からのC群ロタウイルス検出状況−愛媛県

(Vol.24 p 190-191)

2003年3月中旬〜5月中旬の間に、 松山市の小児科定点より搬入された感染性胃腸炎患者糞便からC群ロタウイルスが検出されたので、 その概要を報告する。

ウイルス検査は、 電子顕微鏡法(EM法)とイムノクロマト法(IC法)を併用して行った。EM法でロタウイルス陽性例についてはSDSポリアクリルアミド・ゲル電気泳動法(SDS-PAGE法)を行い、 EM法でロタウイルス陽性例のうちIC法陰性例については、 C群ロタウイルス(C-HRV)検出RPHA法を行った。

に今年の感染性胃腸炎患者からのウイルス検出状況を示した。昨年から流行していた(IASR Vol.24、 No.1、 9-10参照)ノーウォーク様ウイルス(NLV, norovirus)は1〜2月はまだ多く検出されたものの、 徐々に減少していった。A群ロタウイルス(A-HRV)は、 1月から検出され始め、 1〜5月の検出数は36例で、 そのピークは3〜4月であった。一方、 C-HRVは3〜5月の間に13例検出され、 A-HRVの主流行期より1〜2カ月遅れ、 5月にピークとなった。C-HRVの検出状況を詳細に見ると、 第11週に1例検出され、 その後約3週間検出されなかったが、 第15週(4月7日)〜第20週(5月15日)の間に、 検査した糞便64例中12例(19%)からC-HRVが検出されたことから、 当地においてこの時期にC-HRVの小流行があったものと推察された。検出されたC-HRV 13株は、 すべてSDS-PAGE法で、 典型的なC-HRVの泳動像を呈し、 また、 すべての株が同じ泳動パターンを示した。

本県では、 C-HRVは、 1984年4〜5月(4例)、 1985年2〜4月(5例)、 1986年3〜4月(7例)、 1987年12月(1例)、 1988年2〜5月(47例)、 1989年5月(1例)、 1993年1〜5月(16例)、 1996年2〜5月(8例)、 2000年3月(2例)に検出されているが、 今年は、 1988年、 1993年に次いで検出数が多かった。

C-HRVが検出された患者の年齢分布は、 1歳1例、 3歳2例、 4歳1例、 5歳3例、 6歳3例、 8歳2例、 13歳1例(平均 5.6歳)で、 同時期にA-HRV が検出された患者(平均 3.3歳)よりも平均年齢が高く、 好発年齢に差異がみられた。臨床症状では、 A-HRVとC-HRVで明瞭な差異は認められなかった。

愛媛県立衛生環境研究所 山下育孝 近藤玲子 豊嶋千俊 大瀬戸光明 井上博雄

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