無菌性髄膜炎患者からのエンテロウイルス71型の分離−青森県

(Vol.24 p 189-189)

エンテロウイルス71型(EV71)は、 手足口病や無菌性髄膜炎患者から検出されている。青森県においては、 2003年6月3日と13日に搬入された無菌性髄膜炎患者、 5歳女児の髄液と糞便、 および8歳女児の髄液と咽頭ぬぐい液材料からEV71が分離された。主症状は吐気、 嘔吐、 発熱、 頭痛であった。

ウイルス分離にはRD、 Vero、 HeLa細胞を用い、 RD細胞が最も高い感受性を示した。同定はEV71BrCr、 EV71C-7-A、 EV71岩手株の抗血清を用いた中和試験によった。結果はEV71BrCr、 EV71C-7-A抗血清では分離株は全く中和されず、 抗EV71岩手株により中和された。

今シーズンの無菌性髄膜炎患者の報告は、 第22週1人、 第24週1人と、 現在のところ2人の報告しかみられていない。一方、 手足口病の患者発生は第14週(4月)に0.4人/定点で、 第21週までほぼ横ばい状態であったが、 第22週目から1.6人/定点と漸増し、 第28週には全国平均を上回る勢いで4.2人/定点に増加した()。第26週〜28週までの患者報告数は56人、 114人、 175人と増加し、 地域別の報告数は第28週のむつ保健所管内が66人と増加が際立っていることから、 現在患者発生動向に注意を払いつつ、 手足口病患者材料からのウイルス分離に努めている。

青森県環境保健センタ−
三上稔之 石川和子 小笠原和彦 和栗 敦 阿部幸一

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