HIV感染者の急激な増加、 1999〜2001年−ロシア

(Vol.24 p 226-226)

1999年〜2001年にかけて、 ロシアではHIV感染者数が1.1万から17.7万へと16倍の増加を見せた。2001年にHIV感染者49,434例の感染に関する危険因子が調査され、 46,274例(94%)が静注薬物常用者(IDUs)という結果であった。

このような現状は大都市だけでなく周辺地域にも広がる傾向があり、 ロシア有数の農業地帯であるOrel Oblastでは、 1997年から2000年にHIV感染者数が33倍に増加した。これを受けてOrel Oblast AIDSセンターはアメリカCDCと協力し、 近年のHIV感染者の傾向とIDUsの中でのHIV感染の危険行為について調査した。

1987年〜1998年にはOrel Oblast居住者中でのHIV感染者数は8例であったが、 1999年1月〜2001年9月では380例であった。そのうち312例(82%)が男性、 341例(90%)が30歳未満、 313例(82%)がIDUsであった。女性のHIV感染者は1999年1月では125例中15例(12%)であったが、 2001年9月では190例中42例(22%)に増加していた。1987年1月〜2001年9月の女性のHIV感染者70例中33例(47%)、 および男性のHIV感染者318例中30例(9%)が異性間性的接触による感染であると思われた。異性間性的接触で感染したと考えられる63例のうち、 31例(49%)がIDUsとの性的接触があった。

HIVに感染していないIDUs 110例に関して、 HIV感染の危険因子を調査した。その結果は、 88例(80%)が男性、 97例(88%)が30歳未満、 105例(95%)がヘロイン常用者であった。さらに、 65例(59%)がときおり針を共有したと答え、 68例(62%)がHIVによって汚染された可能性のある静注薬物を使用していた。このうち102例(93%)が、 処方なしに合法的に入手できるようになっている未使用の針を手に入れるのは困難でない、 と答えていた。

ロシアでは人口の1〜2%、 30歳未満男性の5〜8%がIDUsであるとされている。今後、 何らかの介入がなされなければ、 ロシア国内でHIVが急速に広がることが懸念される。

(CDC、 MMWR、 52、 No.28、 657-660、 2003)

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