エコーウイルス9&30型関連無菌性髄膜炎の流行とエンテロウイルスサーベイランス、 2003年−米国

(Vol.24 p 226-227)

無菌性(ウイルス性)髄膜炎は髄膜炎の中でもっとも一般的にみられるもので、 毎年全米で約26,000〜42,000例の入院患者を出している。エンテロウイルスが一般的によく見られる原因ウイルスであるが、 エコーウイルス9型(E9)とエコーウイルス30型(E30)はしばしば流行と関連してきた。

2003年1月〜8月7日までに25州から 365件のエンテロウイルス検出報告があった。その中でもっとも多かったはE9とE30で、 E30が 132(36%)、 E9が 108(30%)であった。E9が主に東側の州、 E30が主に西側の州にみられる傾向があった。

2003年1月〜8月7日までにいくつかの州で、 無菌性髄膜炎の流行が報告された。このレポートでは、 そのうち5つの州(アリゾナ、 カリフォルニア、 ジョージア、 アイダホ、 サウスカロライナ)での流行について概説する。

アリゾナ州:1月〜7月31日までに合計 465例の無菌性髄膜炎が報告された。そのうち62例からエンテロウイルスが分離され、 47例(76%)がE30、 1例(2%)がE9であった。

カリフォルニア州:1月〜8月5日までに合計 1,753例の無菌性髄膜炎が報告された。ウイルス検出が試みられた148例のうち、 82例(55%)がPCR法または分離培養でエンテロウイルスが確認された。そのうち29例(85%)がE30、 4例(12%)がE9であった。

ジョージア州:3月10日〜7月23日までに、 50の郡から320例の無菌性髄膜炎が報告された。すでに24例からE9が分離されている。さらに髄液24検体からエンテロウイルスが分離されており、 髄液52検体がPCRでエンテロウイルス陽性を示している。この流行は8月7日現在まだ続いている。

アイダホ州:5月21日〜7月17日にかけて、 中北部の3つの郡から38例の無菌性髄膜炎が報告された。ウイルス検出を試みた4例中2例からE30が分離された。

サウスカロライナ州:4月6日〜7月31日にかけて、 Aiken郡で82症例が確認された。これらのうち2例の髄液からE9が分離された。同時期に、 隣接するジョージア州でもE9による無菌性髄膜炎の流行が起きていた。その後、 Aiken郡から同州内の他の郡にも流行が拡大し、 計 130例が報告されるに至った。8つの郡からの髄液18検体、 咽頭洗浄液2検体からE9が分離された。その他のエンテロウイルスは確認されなかった。

(CDC、 MMWR、 52、 No.32、 761-764、 2003)

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