本年7月11日に開催された衛生微生物技術協議会第24回研究会で、 シンポジウム「輸入感染症:赤痢菌の検査法について」が行われた。そこでは、 赤痢菌と誤同定される事例が最近目立つようになってきている現状が報告された。
病院検査室や民間検査所で簡易同定キットや自動同定機器を用いて赤痢菌と判定された菌を衛生研究所で再検査すると、 性状等が赤痢菌に類似している大腸菌やモルガネラであったというものである。赤痢菌と判定されると2類感染症としての対応が取られるため、 誤判定された場合の社会的および人権的な問題は大きい。
そこで、 編集委員会として、 問題となった具体的事例の紹介と、 その問題点解決のための対応策を専門家にまとめてもらい、 それらのミニ特集を当誌面で組むことにした。現場における対応の参考にしていただきたい。
同定キットや自動器機使用時には、 取り扱い方やその結果の解釈には十分に注意を払う必要があるが、 行政上重要な疾患の判定は、 地方衛生研究所あるいは国立感染症研究所に相談することが望ましい。病原体のサーベイランスという観点からも、 地方衛生研究所等における病原体の収集および解析は重要である。
IASR編集委員会