無菌性髄膜炎からのエコーウイルス30型の分離状況―奈良県
(Vol.24 p 222-223)

今シーズンの無菌性髄膜炎患者は、 第19週目(5月7日、 2名)を初発とし、その後散発的にみられ、7月(第27週)に入り急激な増加傾向が観察されている。

初めてのウイルス分離は5月23日に発症した12歳・男子(五条市)の咽頭ぬぐい液からで、 RD-18SおよびHEp-2細胞でCPEが確認された。その後、 単味およびプール血清(デンカ生研)による中和試験を行い、 エコーウイルス30型(E30)と同定した。現在までに、 無菌性髄膜炎と診断された患者からのウイルス分離状況は、 E30:16例、 E6 :2例、 アデノウイルス3型:2例およびB群コクサッキーウイルス4型:1例と多種にわたるが、 7月以降の急激な増加の原因ウイルスは全てがE30であった。

E30が分離された患者は3歳〜12歳児(男13、 女3)で、 臨床症状は発熱、 嘔吐、 嘔気、 頭痛などである。患者発生地域は北和地区(斑鳩町、 平群町、 奈良市)に多い傾向がみられるが、 中和および南和地区でも散発的に発生が観察されている。また、 E30が分離された材料は咽頭ぬぐい液(9例)が最も多く、 次いで糞便(6例)、 髄液(1例)であった。

本県でのE30による無菌性髄膜炎の流行は、 1993年、1997年以来である。

奈良県保健環境研究センター
北堀吉映 中野 守 井上ゆみ子 立本行江 足立 修

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