A群コクサッキーウイルス4型の流行−秋田県
(Vol.24 p 224-225)

5月中旬から秋田市を中心に分離され始めたA群コクサッキーウイルス4型(CA4)は、 その後、 男鹿半島地域から県北部にも広がり7月14日現在までに25株が分離された。ウイルス分離と中和試験による同定には乳飲みマウスを用いた。

疾患別ではヘルパンギーナ(咽頭拭い液)が14株と最も多く、 続いて上気道炎(咽頭拭い液)7株、 感染性胃腸炎(糞便)4株であった。年齢は15歳(感染性胃腸炎)が1名の他は全て5歳以下であった。

例年の分離状況を見るとA群コクサッキーウイルスは複数の型が分離されているが、 今年はCA4が集中的に分離されており、 他の型は手足口病患者の咽頭拭い液からCA16が2株分離されているのみである。また、 当所ではヘルパンギーナに限らず、 全ての上気道疾患と感染性胃腸炎について乳飲みマウスによるウイルス分離を試みている(ヘルパンギーナ22検体、 上気道炎81検体、 感染性胃腸炎61検体)。ヘルパンギーナと診断された検体からの分離が高率であることは言うまでもないが、 上気道炎(典型的なヘルパンギーナの症状を示していないと思われる)などの一般的な上気道疾患や、 感染性胃腸炎の糞便からも分離されている。

マウスによる中和試験は、 ウイルスが分離された後比較的短期間(4〜5日)で明確な同定成績が得られるが、 マウスの供給・飼育体制の充実度に左右され、 特に多数の分離株を同定する必要に迫られた場合には問題無く実施できる機関は限られると考えられる。当所では5年前から一本鎖高次構造多型(SSCP)解析による同定支援法を検討しており、 今回のケースでは同定すべき25株は3パターンに分けられたため、 実際に中和試験を行わなければならないのは3株だけで、 他はパターン照合のみで同定可能であった(上記の分離報告は全ての株について中和試験で確認済み)。この場合の同定効率は25/3で8.3倍となり、 今後さらに大規模な流行が起きても対応可能であると考えられる。

秋田県衛生科学研究所
斎藤博之 安部真理子 原田誠三郎 鈴木紀行

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