広島市感染症発生動向調査事業で、 2003年4月〜7月までに検体が採取された302名中12名からエンテロウイルス71型(EV71)が、 10名からエコーウイルス30型(E30)が分離された。
EV71の分離は5月25日採取の手足口病患者からが最初で、 その後6月に6名、 7月に5名から分離された。臨床診断名では手足口病8名(そのうち3名は無菌性髄膜炎も併記)、 肺炎/気管支炎2名、 不明熱2名であった。年齢は0歳5名、 2歳、 4〜7歳、 9歳、 13歳が各1名ずつであった。男女比はほぼ1:1であった。
2003年の手足口病は第17週から増加を始め、 第27週のピークにはこれまでで最も多い一定点当たり33.67人が報告され、 第32週には2.79人まで急速に減少する一峰性の流行であった。
E30の分離は6月11日採取の手足口病および無菌生髄膜炎と診断された患者からが最初で、 6月に6名、 7月に4名から分離された。E30分離陽性者の臨床診断名はすべて無菌性髄膜炎で、 手足口病またはヘルパンギーナと併記された患者が各1名ずつであった。年齢は0歳1名、 5歳と6歳が各3名、 7歳、 8歳および9歳が各1名ずつであった。男女比は7:3で男性に多かった。
なお、 手足口病および無菌性髄膜炎と診断された患者1名からEV71とE30が同時に分離された。
広島市衛生研究所
池田義文 藤井彰人 野田 衛 国井悦子 平崎和孝 荻野武雄