福岡市において、2003年5月に発生したノロウイルスによる食中毒事例の概要について報告する。
2003年5月13日、市内の医療機関より病院内の飲食施設を利用している病院職員22名が嘔吐・下痢等の食中毒症状を呈したと管轄保健所へ届け出があった。
調査の結果、有症者は全員が病院職員であり、初発は5月5日で、5月7日には有症者数が15名と最大になった(図)。また有症者数は最終的には31名となった(表)。
有症者12名と調理従事者4名の糞便16検体および飲食施設の保存食6検体からRT-PCR法でノロウイルスの検出を行った。その結果、有症者12名と調理従事者2名からgenogroup(G) Iが検出された。
本事例では有症者および調理従事者から共通してノロウイルス(GI)を検出し、有症者の大多数が同時期に発病したこと、そして有症者全員が発病数日前に同飲食施設で喫食をしていたことから、病院内の飲食施設を原因施設とするノロウイルス食中毒と判断した。
福岡市保健環境研究所
山崎俊治 若月紀代子 真鍋和義 樋脇 弘 武田 昭