2003年5月に米国CDCと中国CDCは、広東省にある3カ所の動物販売所の動物販売者でのSARSコロナウイルス(SARS-CoV)のIgG抗体保有状況を調査した。対照群として、SARS患者を収容した病院関係者、広東省の公衆衛生関係者、診療所を受診した健康成人の3群が選ばれた。検査対象者の中に、SARS流行中にSARSや異型肺炎を発症した者はいなかった。
検査を受けた792人のうち、72人(9.1%)が抗体陽性であった。抗体陽性率は動物販売者で13%、対照群で1.2〜2.9%であった。動物販売者での取り扱った動物別の陽性率は、ハクビシン73%、イノシシ57%、シカ56%、野ウサギ46%、キジ33%であった。
この調査はSARS-CoVが無症状感染を起こすという血清学的な証拠を示唆している。また、この調査はSARS-CoVが動物起源であるという仮説を示す可能性があるが、さらなる研究が必要である。
(CDC, MMWR, Vol.52, No.41, 986-987, 2003)